発育性股関節形成不全
症状
前までは独歩後に跛行することで発見されていましたが、昨今では乳児健診で開排制限(股の開きが悪い)、脱臼感があった際にレントゲンかエコー診断が行われます。そうすることで早期発見が可能になりました。
もし、成人した後に脱臼がある場合は、下肢短縮のために著明な跛行や、股関節痛が生じたりします。
原因と病態
主な病態としては、周産期に緩みがある赤ちゃんの股関節が、下肢を伸ばした位置でオムツを履くなどの、間違った育児習慣により、外れていくことが多いとされています。
脱臼は生まれた後に発症する、という議論から最近では先天性というより発育性股関節形成不全と呼称されるようになりました。
かつては出生数の2%前後の発生率が見受けられ、最近ではその約1/10に減少してはいますが、成人の二次性変形性股関節症を含めると現在でも股関節疾患の代表であると言えます。
診断
乳児診断では、大腿のシワの非対称や開排制限あれば疑徴、骨頭の位置異常や脱臼感を触知すれば不確徴になります。疑徴や不確徴が認められた際は、エコーやレントゲンを用いた画像診断(確徴)を行います。
なお、成人している場合はレントゲン撮影で容易に診断できます。
予防と治療
治療は年齢によって異なりますが、区別すると脱臼の整復とその後に残った変形の矯正に分けられます。乳児期に発見された際、日本では多くリーメンビューゲルと呼ばれるひも型の装具療法が行われています。
万が一、この装具で効果が得られない場合や、患児が成長して装具療法がうまく行かない場合には、多く入院牽引療法のオーバーヘッド・トラクションが行われます。
脱臼整復は、リーメンビューゲルで80%前後、残りの20%中の、そのまた80%が入院牽引療法にて整復されます。残りの5%前後は手術が必要になります。
整復の効果が得られたら、その後の成長の経過観察を実施し、後遺症が早めに出てしまった場合には骨盤骨切りなどのいわゆる補正手術を行います。できるのであれば就学前に一応の治療を終わらせておきたいと考えております。
なお、最近育児に用いられるスリングによる保育法が、この疾患の発生を助長しているのではないかと危惧されています。