切断された指の再接着
症状
刃物や機械で指や手のひらがもげてしまい、血の巡りがなくなった状態を切断指を言います。
皮膚や腱のみで繋がっている状態を不全切断指と言います。
原因と病態
指が切断される際には、皮膚や骨はもちろん、腱、神経、動脈、静脈など重要な組織も切断されます。
そのため、切断された指の血行をすぐに回復する措置を行わないと、指の組織は死んでしまいます。
■再接着の適応
切断されてしまった全ての指が再接着できるわけではありません。
鋭利な刃物で切断された指や、切断部の組織の挫滅が限局するものは良い適応です。近年では、血管が細い指先の切断でも、積極的に再接着が行われるようになってきています。
切断部だけではなく、全体が圧挫されているような指や、引き抜かれた指、熱が加わり切断された指、切断後に冷却処置されず時間が経ってしまった指などは再接着できません。
治療
微小血管吻合(マイクロサージャリ)が出来る手外科医に行なってもらわなければなりません。
切断された指は、サランラップで包むかビニール袋に入れて、それを氷の入った容器に入れ、冷却しながら病院へ運んでください。
再接着術は、切断部の挫滅組織を切除した後に、骨を少し短くして鋼線で固定します。
指を伸ばす腱と曲げる腱をそれぞれ縫合し、顕微鏡視下で切断された静脈と動脈をそれぞれ内腔が狭くならないように極く細い糸で縫い合わせます。最後に神経を縫合して創を閉じます。
全ての再接着術が成功するわけではありません。切断された指の状態、患者の年齢、動脈硬化など血管の状態、喫煙歴の有無などに影響されます。
■術後管理
手術後24時間以内は縫った血管が詰まる可能性が最も高いため、再手術が必要になることがあります。
ギプスシーネで手全体を固定し、手術部位を保護します。手の腫れを防ぐための挙上と、血管を拡張させるための保温も行います。
血液が固まらないような薬剤の点滴注射を約1週間行ない、喫煙は血管を縮めて細くするので厳禁となります。
■後療法
3週間は積極的な指の運動は行ないません。縫った血管を通る血流が安定したら、再接着した指の関節の動きを出すため、積極的なリハビリ訓練が必要になります。
縫った神経は縫合したところから徐々に回復するので、指先の感覚が戻るまでに何ヵ月必要となります。