キーンベック病
キーンベック病は月状骨がつぶれて扁平化してしまう病気のことをいいます。
手首(手関節)に8つある手根骨の1つで中心に位置する月状骨は、周囲が軟骨に囲まれており血行が乏しいため、血流障害にを起こしやすく壊死しやすい骨の1つです。
症状
手に力を入れて使う仕事のあと、手首の真ん中に痛みと腫脹が現れます。握力が低下し、手首の動きが悪くなり、握力が低下することもあります。
原因と病態
■原因
血流低下により生じることはわかっていますが、その原因は不明です。職業的には手を良く使う青壮年の男性に多く見られます。明らかな外傷や職歴のない女性、高齢者にもみられる場合があります。一説には月状骨の小さなはっきりしない骨折(不顕性骨折)が原因とも言われています。
■病態
月状骨がつぶれてきて、痛みがでたり、動きが悪くなる病気です。初期には血行不全のためレントゲン検査やMRIで月状骨の輝度の変化が確認できます。末期には無腐性壊死になり、つぶれて扁平化します。
診断
手に力を入れて使う作業後、手首に痛みと腫脹、握力の低下、運動制限などの症状に加えて手背の中央に押して圧痛を感じるところが存在します。レントゲン検査で月状骨に輝度変化が生じていたり、変形が生じていれば診断することができます。MRI検査をすれば、より詳しい状況がわかります。
治療
症状や年齢などによって治療法が異なります。
初期や疼痛が強いときにはギプスや装具による固定が行われて回復する場合もありますが、治らない場合は、様々な手術が行われます。手術は進行の程度によってさまざまな方法がありますが、月状骨にかかる負荷を減らすために橈骨短縮骨切り術が行われたり、骨移植(遊離や血管柄付きなど)等も行われます。
末期では壊死した月状骨を摘出したり、そこに腱球挿入(腱を丸めてスペーサーとして利用)する方法などを行っています。