膝関節の痛みに効果的!自宅で出来る簡単ストレッチ
膝関節の違和感や痛みは、安静にしてるよりストレッチで動かした方が改善される場合があります。そのままにしているとかえって膝の痛みで外出や運動が億劫になり、運動不足で筋力が衰え、さらに膝の痛みが進行する・・・という悪循環に陥ることもあるのです。適度な運動やストレッチは、膝関節の痛みの軽減につながります。今回は膝関節の痛みに効果的な、自宅でもできる簡単なストレッチをご紹介します。
膝関節の仕組みとは
膝関節の部分は「大腿骨(だいたいこつ)」「脛骨(けいこつ)」「膝蓋骨(しつがいこつ)」の大きく3つから構成されています。
大腿骨は太ももから伸びる骨のことで、脛骨は膝から足首まで伸びる骨のことです。膝蓋骨は、膝の皿と呼ばれる部分のことをいいます。
膝関節部分には関節軟骨があり、大腿骨と脛骨の間を覆ってクッションの役割を果たしています。また半月板と呼ばれる三日月型の軟骨には、膝にかかる衝撃を和らげる役割があります。さらに膝関節周辺には、腱・筋肉・骨膜があり、これらが膝の動きを安定させ、スムーズに膝を動かすことができるのです。
特に大切なのは関節軟骨。加齢や運動不足による筋力の衰えで、軟骨はすり減りやすくなります。クッションの役割である軟骨が消耗すると、骨と骨が直接ぶつかり、膝関節痛の原因となってしまいます。
膝関節の仕組みについては、こちらで詳しく解説しておりますのでぜひ合わせてご確認ください。
>痛みと向き合う!膝関節の仕組みや働きを知ろう!
膝関節の痛みにストレッチは効く?
膝の痛みを解消する一番の対策は動かすことです。保存療法ではストレッチによって膝関節の柔軟性を取り戻すのが最も有効で、効果的です。
痛みがひどいときは動かさない方がいいと考える方もいますが、膝の痛みがあると無意識にそこをかばってしまい、関節周囲がますます固くなって痛みが慢性化するおそれがあります。
急性期の熱や炎症が見られる場合を除いて、慢性的な炎症には毎日のストレッチが効果的です。ストレッチの効果は比較的すぐに表れますが、個人差があるため1ヵ月程度様子をみましょう。
可動域が広くなったり、痛みが和らいだ場合は続けて毎日気長におこないます。ストレッチは毎日続けることで血行を促進し、痛みや腫れを予防するので痛みがなくなっても続けることが大切です。
膝関節の痛みに効果的!自宅で出来る簡単ストレッチ
太もものストレッチ
ストレッチは、入浴後など体の温まっているときにおこなうのが効果的です。痛みも軽くなり、関節も柔らかくなっています。体を締め付けない動きやすい服装でおこないましょう。
痛みや炎症のひどいときは、かえって悪化させることもあるので控えましょう。ストレッチは反動をつけずに痛みのない範囲で、ゆっくりと伸ばすのがポイントです。
太もも前面の筋肉のストレッチ
- 座って両足を前に伸ばし、片方の膝だけを折り曲げてそのまま後ろに倒れる。
気持ちのよいところで10秒間止める。 - 足を伸ばしてうつ伏せになり片足をお尻に付ける。
そのまま10秒保つ。
太もも裏側の筋肉のストレッチ
- 足を伸ばして仰向けに寝て、片足を胸の近くに引き寄せる。
そのまま10秒保つ。
これらのストレッチを5~10回繰り返しおこないましょう。
膝から下の筋肉のストレッチ
ふくらはぎの筋肉は、足首を曲げ伸ばしする働きを持っています。アキレス腱は歩いたりジャンプしたりするのに欠かせない組織なので、しっかりとストレッチしましょう。
ふくらはぎを伸ばすストレッチ
- 壁や手すりの前に立ち、足を前後に開く。
前の膝を軽く曲げ、反対側の腰を前にぐっと押し出す。この状態で10秒間保つ。 - 床に仰向けになり両足を伸ばす。
両足のかかとを床に付けたまま、両足首をゆっくり体の方にそらし、5秒保つ。今度はつま先を下に向けて曲げ、5秒キープする。 - 足を前後に開いて立ち、後ろ側の膝を軽く曲げてかかとを床につける。
そのままゆっくり腰を落として10秒間キープする。
これらのストレッチを左右交代しながら、5〜10回続けます。痛みが出ない範囲でおこなってください。
お風呂でおこなうストレッチ
膝の痛みが強い人は、入浴中のストレッチがおすすめです。浴槽に浸かって十分に身体を温めたあと始めましょう。滑らないように手すりを付けるなど、安全に配慮しておこなってください。
膝の曲げ伸ばし
- 浴槽のふちにしっかりとつかまり、そのままゆっくりしゃがんでいく。
痛みのないぎりぎりのところまで曲げて、10秒キープする。 - そのままゆっくり立ち上がり、膝に手を当ててゆっくり膝を伸ばす。
足の後ろ側のストレッチ
- 浴室の椅子に腰かけ、背筋を伸ばす。
- 両足を前に伸ばしてかかとを立てる。両手で膝を押して前屈する。
膝のストレッチ
- お風呂から上がったら足をそろえて立つ。
- 膝の上あたりを両手で軽く押さえ、膝の裏側の筋肉を伸ばす。
これらのストレッチを、大体20〜30秒の範囲でおこなうよう心がけましょう。
回数や秒数にこだわるよりも、無理のない範囲で毎日少しずつでも続けることが大切です。
ストレッチでも膝の痛みが改善されないときは
ストレッチをしても痛みが全く解消されない場合は、病院を受診しましょう。骨の変形が進み、骨棘になっている状態や、半月板の損傷、靭帯の損傷がある場合はストレッチをしても痛みがおさまりません。
逆に動かすと危険なこともあるので、激しい痛みや熱、腫れをともなうときは動かさないようにしましょう。
病院では一般的に、内服薬や外用薬による痛みや炎症を和らげる保存療法を中心に治療をおこないますが、変形がひどい場合や緊急を要する場合は手術が適応となります。 手術を受ける方の割合は全体の5%ほどで、あまり高くありません。痛みが軽い状態なら、ストレッチを続けることで解消されるケースも多々あります。日常生活に上手に取り入れて、日頃から膝を動かしたり、ストレッチしたりすることを意識しましょう。
監修医師紹介
西新宿整形外科クリニック
沼倉 裕堅 院長
Hirokata Numakura