膝に水がたまるとは?考えられる原因と対処法をご紹介

公開日 2023.12.3 最終更新日時 2024.1.20

膝関節に水がたまるってどういうこと?

膝関節は「関節液」という液体が分泌されて、内部を満たしています。関節液とは、言わば、膝関節の動きをスムーズにするための潤滑油です。

「膝関節の水」とは関節液のことであり、「膝に水がたまる」とは、関節腔を常に一定の量で満たす関節液が、異常に生成されてしまった状態を指します。

膝関節の仕組み

関節を簡単に表すと、骨と骨のつなぎ目です。

人体の関節で最も大きい膝関節は、大腿骨・脛骨・腓骨・膝蓋骨という4つの骨から成ります。大腿骨が脛骨の上で転がるように動くことで、膝の曲げ伸ばしを可能にします。

膝の曲げ伸ばしをするために、半月板という軟骨、複数の靭帯、腱が膝軟骨を支えています。また、大腿四頭筋やハムストリングなどの筋肉によるサポートも必要です。

膝を曲げ伸ばしする際、骨間の摩擦を防ぐために、骨の表面は弾力のある軟骨に覆われています。また、関節の動きをスムーズにするために関節腔は粘り気のある関節液で満たされています。

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膝関節にたまる「関節液」とは

先述したとおり、膝関節にたまる水は「関節液」のことを指します。

膝関節は関節包という袋状の筋に包まれており、関節包の内側は滑膜で覆われています。
滑膜が作りだす、透明で粘り気のある滑液が関節液です。

関節液の役割は潤滑油だけではありません。関節液にはタンパク質やヒアルロン酸が含まれており、軟骨の栄養にもなります。軟骨に吸収されることによって、新しい関節液が生成されるため、関節腔は常に新鮮な関節液で満たされています。

「膝に水がたまる」現象は、何らかの原因で関節液の生成サイクルが乱れ、関節腔に異常な量の関節液がたまってしまうことで発症します。

膝の水、つまり関節液は、常に1〜3mlの量で保たれていますが、膝に水がたまっている場合は多くて30mlにまで増加しています。

膝関節に水がたまる原因として考えられる疾患

膝関節に水がたまる原因として考えられるのは、滑膜の炎症です。
次のような疾患は、滑膜の炎症を引き起こす可能性があります。

変形性膝関節症

変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減り変形してしまう疾患です。一般的に、膝の曲げ伸ばし時の痛みや違和感、膝に水が溜まるといった症状があげられます。

加齢にともなう劣化や、筋力低下による負担の大きさが原因となることが多く、中高年になるほど発症率が高くなります。男女比は1:4と、比較的女性が発症しやすい傾向にあります。

進行性の疾患であり、重症化すると手術による治療が必要となる場合もあるため、早期の治療がおすすめです。

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半月板損傷

半月板とは、膝関節の内側と外側にあるC字型の軟骨で、関節にかかる負担を和らげるクッションのような働きをします。

半月板を損傷すると、膝の曲げ伸ばし時の痛みが生じたり、滑膜が炎症を起こして膝に水がたまったりします。症状が悪化するとロッキング現象を起こすこともあるため注意しましょう。

主な原因は外傷です。スポーツや事故などで膝を強くひねったり、大きな負荷をかけてしまったりすることで半月板は損傷します。
また、加齢にともない劣化した半月板は傷つきやすく、高齢者の場合は日常の動作で半月板を損傷する可能性があります。

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靭帯損傷

靭帯とは、関節を形成する骨と骨を繋げる組織です。膝関節を支える靭帯は4種類あり、コラーゲンを主成分としているため伸びにくく、膝の安定性をサポートしています。

靭帯損傷の原因は、半月板と同様にスポーツや加齢による外傷がほとんどです。靭帯損傷により滑膜が炎症を起こし、水がたまってしまいます。

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関節リウマチや痛風

関節リウマチ・痛風は、関節の炎症により腫れや痛みが生じる疾患です。

関節リウマチの原因はまだはっきりと解明されていませんが、免疫の異常であると考えられています。先天的要因やウイルス感染である可能性が高いです。

通風は、高尿酸血症によって関節内に発生した尿酸塩結晶を、白血球が処理する際に起こります。高尿酸血症の原因はさまざまであり、肝臓の機能低下や暴飲・暴食、肥満などがあげられます。

どちらも滑膜に炎症を起こし、膝に水がたまる原因となります。
関節リウマチの場合、放っておくと骨が変形してしまう恐れがあるため早期の治療が重要です。

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膝関節に水がたまった時の対処法

膝に水がたまった場合、症状が自然治癒することはないため、適切な対処が必要です。

膝にたまっている水を抜く

まずは膝の水を抜きます。

その際留意したいのは、水を抜くことで腫れやだるさの一時的な改善を図ることはできますが、根本的な解決にはならないということです。 原因となる疾患を特定し、それぞれに応じた治療が必要です。

水がたまる原因を特定する

膝にたまった水は、原因によって色が異なります。
そのため、水を抜くことで原因となる疾患を特定することができます。

以下の表は、水の色と疾患についてまとめたものです。

膝の水の色原因と考えられる疾患
褐色・赤色(血液)半月板損傷、靭帯損傷などの外傷
濁りのある黄色・白関節リウマチ、感染症、痛風
透明な濃い黄色変形性膝関節症

原因に応じて治療する

膝に水がたまる原因を解決しなければ症状は繰り返すため、特定した疾患を治療することが大切です。

膝関節の疾患を治療する方法として、主に保存療法・手術療法があげられます。保存療法で治療ができなかった場合、手術療法で治療するのが一般的です。

しかし、近年では再生医療という新しい選択肢があります。保存医療では治療できなかった症状に対し、手術をおこなわずに改善が期待できる治療法です。

疾患や症状の経過によって適切な治療は異なるため、自分の状態にあった治療をおこないましょう。

膝関節再生医療について詳しくはこちら>

まとめ

膝に水がたまる原因は滑膜の炎症であると考えられ、導因となる疾患は変形性関節症や半月板・靭帯損傷、関節リウマチ・痛風などがあげられます。

膝の水を抜くことで症状を和らげることはできますが、根本的な解決にはならないため、原因となる疾患を治療することが大切です。

症状を放置すると、痛みが強くなったり、膝が動かなくなったり、関節が変形したりする恐れがあります。

膝に異変を感じたときには、早めに病院を受診するようにしましょう。

監修医師紹介

沼倉 裕堅 院長

西新宿整形外科クリニック

沼倉 裕堅 院長

Hirokata Numakura

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