テストステロンの分泌量が増えてくると、骨端線の閉鎖時期が近づいてきます


テストステロンは男性ホルモンであり、骨を伸ばす作用のある成長ホルモンの分泌を促す働きがあります。

ただし、テストステロンが過剰分泌されると逆に生成された骨端線の軟骨が急速に成熟して骨化が進むため、骨端線が閉じる時期は早まる可能性があります。

テストステロンと成長ホルモンの分泌がよいバランスと保つ成長期が、身長を伸ばす絶好の機会となるので骨を伸ばす生活を送ることが大事です。

テストステロンは骨の成長を促す一方で、過剰分泌されると骨端線が閉鎖しやすくなります

テストステロンは、性ホルモンである男性ホルモンの一種で生殖器の発育のみならず、筋肉や骨格の成長促進を担っています。
また、骨の繋ぎ目には骨端線という骨を作る軟骨細胞の集合体があり、軟骨細胞が増殖を繰り返し、硬くなってどんどん新しい骨ができていきます。

脳の下垂体から分泌される成長ホルモンは、この軟骨生成を助ける働きがあるのです。

そして、テストステロンはこの成長ホルモンの分泌を促す作用があると言われています。
そのため、テストステロンは間接的に骨端線の成長や身長の伸びにも関係しているのです。ただし、テストステロンには新しくできた軟骨を硬くして、骨を成熟させて大人の骨へと変化させる作用もあります。

テストステロンと成長ホルモンの分泌量がうまくバランスを保っていれば、成長期に急激な身長の伸びが期待できるでしょう。

一方で、分泌異常によりテストステロンが過剰分泌されてしまうと骨の成熟が骨の生成を上回るスピードで進んでしまうため、骨の成長がストップしてしまう可能性があります。
骨端線が開いている状態なら骨が伸びる余地がありますが、テストステロンが増えすぎると通常よりも早く骨端線が閉じてしまい、骨の成長が見込めない場合もあるのです。

テストステロンが適度に分泌される成長期が、身長を伸ばす最大のチャンスです


男女とも10歳前後から始める思春期に突入すると、性ホルモンの分泌量が増え、絶妙なバランスを保ちながら成長ホルモンの分泌を助けてくれます。
その結果、一気に骨の成長が加速し、身長がぐっと伸びる可能性が高まるので身長を伸ばす最大のチャンスだと言えるでしょう。

この時期に成長ホルモンの分泌量を増やし、かつ性ホルモンであるテストステロンの過剰分泌を抑えるためには生活の中で気をつけたいことがあります。
まず、睡眠中に成長ホルモンは分泌が盛んになるので1日少なくとも8~9時間の睡眠時間を確保し、熟睡できる環境を整えてあげる必要があります。

また、適度な運動は程よい疲労と骨端線への刺激を与え、睡眠や骨の成長を促す効果があるので積極的に取り組むといいでしょう。

さらに、骨の材料となるタンパク質やカルシウムを始め、骨の成長を促すのに欠かせないマグネシウムや亜鉛、ビタミンB群などの栄養素がバランス良くとれる食事にも気を配ってあげましょう。

また、ストレスや夜更かしなどの不規則な生活はテストステロンを過剰分泌させる場合もあるので、ストレスを解消しある程度決まった時間に寝起きするなどの生活スタイルが大事になります。

思春期が早く訪れる思春期早発症の場合、骨端線の閉鎖が速まる可能性があります

テストステロンなどの性ホルモンは一般的に、10~12歳前後より分泌量が上昇し、思春期に突入し男女の性差が体にはっきり表れ始めます。

しかし、通常よりも早く性ホルモン分泌の上昇が始まってしまうケースがあり、それは思春期早発症と呼ばれるものです。

思春期早発症の症状としては、男児は9~11歳にかけて精巣が発達する、陰毛が生える、声変わりが見られるなどが挙げられます。
女児は7歳半~10歳半かかけて乳房が膨らむ、初潮を迎えるといった症状が見られます。

さらに、身長を伸ばすチャンスとなる成長期に性ホルモンが過剰分泌されるので、できた軟骨の骨化が加速して、骨が通常よりも早く成熟してしまうのです。
結果、骨端線の閉鎖時期も早まることになり、低身長のまま大人になる可能性も出てきます。

年齢の割にはお子さんの体の成長が早熟であったり、低身長が気になったりするという親御さんは、早めに専門のクリニックを受診し、検査を受けられることをおすすめします。

早期に発見できれば、性ホルモンの分泌を抑え、骨の成長期間を延ばす治療なども受けられるからです。

(まとめ)テストステロンの分泌が増えると骨端線は閉鎖するの?

1.テストステロンの分泌量が増えてくると、骨端線の閉鎖時期が近づいてきます

性ホルモンであるテストステロンは、骨を成長させる成長ホルモンの分泌を促す作用があります。
一方で、分泌量が一気に増えると骨の成熟も早まり、骨端線の閉鎖が通常よりも早く訪れる可能性もあるでしょう。

2.テストステロンは骨の成長を促す一方で、過剰分泌されると骨端線が閉鎖しやすくなります

テストステロンは性ホルモンの一種で、骨の成長を促す成長ホルモンの分泌を促す作用があります。一方で成長期を過ぎて分泌量が増えると骨が一気に成熟し、骨端線が閉鎖に向かいやすくなるのです。

3.テストステロンが適度に分泌される成長期が、身長を伸ばす最大のチャンスです

10歳前後から始まる成長期は、テストステロンなどの性ホルモンと成長ホルモンの分泌バランスが整い、一気に身長が伸びるチャンスとなります。

成長ホルモンの分泌量を増やすために、栄養バランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動が大事です。

4.思春期が早く訪れる思春期早発症の場合、骨端線の閉鎖が速まる可能性があります

通常よりも若い年齢で性ホルモンの分泌上昇が始まると、骨の成熟が加速し、骨端線も早々に閉じてしまう可能性があります。

思春期早発症であっても、治療を受けることで身長が伸びる可能性はあるので早めに専門のクリニックを受診しましょう。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
西新宿整形外科クリニック

運営者情報

運営クリニック 西新宿整形外科クリニック
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院長 沼倉 裕堅 医師