骨端線が必要とする栄養素の中でもっとも重視したいのはタンパク質です


骨端線が成長するために必要な栄養素はいくつかありますが、その中でもタンパク質は骨端線の成長を促す栄養素として知られています。

タンパク質の不足は、子供の発育不全や低身長を招く原因となるものです。
しかしタンパク質は多くの食材に含まれている栄養素であるため、偏った食生活を送らない限りは不足しづらいと考えられます。

タンパク質(プロテイン)のサプリメントも売られていますが、骨端線の成長のためには食事から栄養素を摂ることが大切です。

タンパク質が骨端線の成長をサポートします

タンパク質には子供の成長に不可欠な成長ホルモンの分泌を促し、骨端線の成長を促す働きがあります。

成長ホルモンは脳の下垂体から分泌されると肝臓に作用し、ソマトメジンC(IGF-I)という物質を分泌させます。
ソマトメジンCには成長ホルモンとともに骨端線を成長させる働きがあり、骨端線の成長によって骨が伸びていくのです。
身長が伸びるということは、骨端線が成長して骨が伸びるのと同じことになります。

骨端線は骨端軟骨と呼ばれる軟骨組織でできていますが、この骨端線部分では骨の代謝が盛んに行われています。
子供が成長期になると新しい骨を作る骨芽細胞が活発になり、栄養素を取り込みながら硬く新しい骨へと生まれ変わっていくのです。

このように骨の代謝が繰り返されることにより、骨の成長が進んで子供の身長が伸びるという仕組みになっています。

骨端線での骨の代謝は一生涯続くものではなく、成長のラストスパートとも呼ばれる第二次性徴期が過ぎると終了を迎えます。
成長のラストスパートが過ぎるまでにタンパク質を十分に摂り、成長ホルモンの分泌を促していくことが理想です。

タンパク質には子供の成長に欠かせない必須アミノ酸が含まれています


タンパク質が子供の発育に重要な栄養素だと位置づけられているのは、他にも理由があります。

必須アミノ酸という人間にとって大切な栄養素が、タンパク質を構成している主な成分になるためです。
人間が生きていく上で必要とするアミノ酸はいくつもありますが、その中でも体内で生成できないアミノ酸のことを必須アミノ酸と言います。
体内で生成できないため、普段の食事から摂取しなければならないことから、必須アミノ酸と呼ばれているのです。

必須アミノ酸には次の9種類が含まれています。

・ロイシン
・バリン
・イソロイシン
・リジン
・メチオニン
・フェニルアラニン
・スレオニン
・トリプトファン
・ヒスチジン

子供の場合は上記の9種類にアルギニンを加えた10種類が、必須アミノ酸だと認識されています。

アルギニンが子供にとって重要だとされるのは、次のような理由があるのです。

アルギニンには成長ホルモンの分泌を高め、骨端線の成長を促進させる働きがあります。
必須アミノ酸を十分に摂取するには、良質なタンパク質を食事から補給しなければなりません。動物性タンパク質は肉や魚、植物性タンパク質は大豆などに豊富に含まれています。

子供にバランス良く食べさせるのは大変な時もありますが、バランスの良い食事が骨端線の成長を左右するといっても過言ではありません。

タンパク質以外の栄養素もバランス良く摂りましょう

タンパク質は骨端線を成長させるのに必要な栄養素ですが、その他の栄養素についてもバランス良く摂る必要があります。

炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルはタンパク質とあわせて「五大栄養素」と呼ばれており、人間の身体に必要な栄養素だとされています。
成長期の子供には、五大栄養素を意識した食事を食べさせてあげるとよいでしょう。

子供の身長を伸ばす効果をうたったサプリメントもありますが、子供の成長を支えるのは1日3度の食事になります。
飲んだだけで身長を伸ばすサプリメントは存在しないため、必要な栄養素は食事から摂るようにしましょう。

子供の身長に不安を感じる時は、子供の低身長治療を行う専門医に相談することをおすすめします。骨端線が閉じてしまう前に、カウンセリングを受けましょう。

(まとめ)骨端線が必要とする栄養素は?

1.骨端線が必要とする栄養素の中でもっとも重視したいのはタンパク質です

骨端線が成長するために必要な栄養素の中でも、タンパク質はとくに子供の発育を気にする上で欠かせない栄養素だと言われています。

タンパク質の不足は低身長の原因となりますが、サプリメントに頼らず、普段の食事から摂取することが大切です。

2.タンパク質が骨端線の成長をサポートします

タンパク質には成長ホルモンの分泌を促す作用があることから、子供の身長を伸ばすのに欠かせない栄養素だと言われています。
成長ホルモンはソマトメジンCの分泌をサポートし、骨端線部分での骨の代謝を進めて身長を伸ばす働きをします。

3.タンパク質には子供の成長に欠かせない必須アミノ酸が含まれています

タンパク質が子供の成長に欠かせない栄養素だと言われるのは、豊富な必須アミノ酸を摂取できるためです。
子供にとっての必須アミノ酸は10種類あり、肉や魚、大豆などにタンパク質が豊富に含まれています。

4.タンパク質以外の栄養素もバランス良く摂りましょう

骨端線を成長させていくためにも、タンパク質以外の栄養素もきちんと摂取するようにしましょう。
身長の伸び方に不安がある時は、すぐに子供の低身長治療を行う専門医に相談してください。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
西新宿整形外科クリニック

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運営クリニック 西新宿整形外科クリニック
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院長 沼倉 裕堅 医師