成長ホルモン治療の費用に保険が適用されるのは本当です
子どもの低身長症を治療する「成長ホルモン治療」の費用には、健康保険が適用されます。
ただし、低身長症の原因が一部の病気である場合のみです。
その場合、自己負担は治療費の3割となりますが、長期間の治療となるとどうしても費用がかさんでしまいます。
治療にかかる費用は、成長ホルモン治療に適用される各種医療費助成制度を利用することで抑えることができます。
目次
特定の病気が認められれば、成長ホルモン治療に健康保険が適用されます
子どもの低身長症を治療する「成長ホルモン治療」は、完全に自己負担で治療を受けると年間百万円単位の費用がかかるといわれています。
これは、成長ホルモン自体が非常に高価なためです。
その費用を軽減するための方法として、成長ホルモン治療の費用に健康保険を適用することが可能となっています。
しかし、健康保険が適用されるのは特定の病気が原因で低身長になっていると診断された場合のみになります。
特定の病気というのは、以下の病気になります。
- 成長ホルモン分泌不全性低身長症
- SGA性低身長症
- ターナー症候群
- プラダー・ウィリー症候群
- ヌーナン症候群
- 軟骨異栄養症(軟骨無形成症や軟骨低形成症)
- 小児慢性腎不全
これらの病気により低身長が医学的に認められた場合のみが健康保険の適用となります。
さらに、成長ホルモン治療を受けられるのは骨の成長が止まるまでというのが基本となっています。
成長ホルモン治療に適用される健康保険のことを「高度療養費制度」と呼びます。
この制度が適用された場合の自己負担の費用は年間で65万程度、月々の自己負担額は8万円程度になると考えられています。
なお、この平均金額は年収によって上下するため、あくまでもモデルケースになります。
小児慢性特定疾病医療費助成制度の利用で成長ホルモン治療の自己負担額を減らすことができます
成長ホルモン治療に健康保険が適用された場合、自己負担は治療費の3割となりますが、長期間の治療となるとどうしても費用がかさんでしまいます。
成長ホルモン治療では、健康保険以外にも治療にかかる費用を、さらに抑える方法があります。
成長ホルモン治療に適用される各種医療費助成制度の利用です。
その一つに、「小児慢性特定疾病医療費助成制度」というものがあります。
この制度は、子どもの慢性的な病気のなかでも長期間の治療が必要と認められている病気にかっている場合、成長ホルモン治療の費用の一部を公費で負担してもらうためのものです。
小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象となる病気は以下になります。
- 成長ホルモン分泌不全性低身長症
- ターナー症候群
- プラダー・ウィリー症候群
- 軟骨異栄養症
- 小児慢性腎不全
この制度の対象は基本的に18歳未満とされていますが、引き続き治療が必要な場合のみ20歳未満まで対象となることができます。
小児慢性特定疾病医療費助成制度が適用された場合の自己負担額は、年間で7万程度、月々の自己負担額は6千円程度になると考えられています。
こちらの金額も、あくまでもモデルケースとなります。
成長ホルモン治療に適用される制度はさまざまあります
高度療養費制度や小児慢性特定疾病医療費助成制度の他にも、成長ホルモン治療の費用を軽減できる方法はあります。
費用の負担が大きいからといって成長ホルモン治療をあきらめる必要はありません。
ここでは、成長ホルモン治療に適用される制度をご紹介いたします。
別名で「マル乳」と呼ばれている制度になります。
各自治体によって異なりますが、6歳までの乳幼児が対象となります。
こちらは、就学前の子どもの医療費について自己負担額を自治体に助成してもらうことのできる制度です。
別名で「マル子」と呼ばれている制度になります。
こちらも各自治体によって異なるため問い合わせが必要になりますが、6歳から15歳までの小中学生の子どもが対象となります。
子どもが健やかに成長できるよう、医療費を自治体に助成してもらえる制度です。
これ以外にも、「ひとり親家庭等医療費助成制度」や「重度心身障害者医療費助成制度」などさまざまな制度が設けられています。
(まとめ)成長ホルモン治療の費用に保険が適用されるって本当?
子どもの低身長症が特定の病気である場合、成長ホルモン治療に健康保険を適用することができます。ただ、それでも長期的な治療となると費用がかさみます。
費用負担をさらに抑えるためには、各種医療費助成制度を利用することが推奨されています。
子どもの低身長症の原因が成長ホルモン分泌不全性低身長症などの特定の病気であることが認められた場合、成長ホルモン治療に健康保険が適用されます。ただし、成長ホルモン治療が受けられるのは骨の成長が止まるまでと考えられています。
成長ホルモン治療の費用は、健康保険が適用された場合でも高額です。さらに費用を軽減するために「小児慢性特定疾病医療費助成制度」という制度が用意されています。
特定の病気によりこの制度が適用されると、治療費の自己負担額がかなり少なくなります。
成長ホルモン治療に適用される制度は、高度療養費制度や小児慢性特定疾病医療費助成制度以外にもさまざまあります。例えば、乳幼児医療費助成制度、子ども医療費助成制度、ひとり親家庭等医療費助成制度、重度心身障害者医療費助成制度などが挙げられます。