カルシウムは骨を丈夫にする効果を期待できますが、成長させて伸ばす効果はありません
カルシウムに期待できる効果は骨を丈夫にするというものであって、日頃からカルシウムを多く摂取していれば背が伸びるというわけではありません。
背を伸ばすためには骨の成長が欠かせませんが、カルシウムによって骨が成長して伸びるというわけではなく、骨の端で細胞が増えることによって成長します。
成長ホルモンによって骨の端における細胞を増やし、骨が伸びたらカルシウムで丈夫にするという流れで、骨は大きく成長するのです。
骨を伸ばすためには成長ホルモンが必要となり、低身長の治療には成長ホルモン治療が適しているでしょう。
骨を伸ばすためには成長ホルモンが必要です
身長を伸ばすためには、骨が大きく伸びる必要があり、骨を伸ばすためには成長ホルモンが必要不可欠となります。
これは、成長ホルモンからソマトメジンC(IGF-1)という成長因子が作られるからで、骨の先端部分の軟骨細胞を増やす働きのある成分です。
先端部の細胞が増えることによって徐々に骨が伸びていくため、骨を伸ばすためには成長ホルモンが必要となります。
カルシウムは伸びた骨が丈夫になるために必要となる栄養素であり、骨を伸ばすための直接的な栄養素というわけではありません。
しかし、カルシウムが不要というわけではなく、伸びた骨を固めていくために必要となりますので注意してください。
身長を伸ばすために必要となるのは成長ホルモンとカルシウムの2つです。
このどちらもが必要となりますので、日々の食生活でカルシウムを摂取することも大切と言えます。
また、骨はさまざまな栄養素が骨の先端部に運び込まれることでも伸びることになります。
したがって日々の食生活でしっかりと栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されます
成長ホルモンが多く分泌されるタイミングは、睡眠中であることが分かっています。
特に多く分泌されるのが入眠後3時間であると分かっており、さらに質の高い睡眠であるほど成長ホルモンの分泌量も多いと考えられているのです。
成長ホルモンが多く分泌されれば、骨の成長も促されることになりますので、睡眠をしっかり取ることが身長を伸ばすことにもつながると言えます。
寝る子は育つと言いますが、この言葉にはこのように科学的な裏付けもありますので、日頃の睡眠についても気を配るようにしましょう。
睡眠時間を確保することや、睡眠の質を向上させることは、日中の生活と大きく関係しています。
たとえばゲームが好きで夜遅くまで没頭してプレイしていると、睡眠時間をしっかりと確保することができず、その分成長ホルモンの分泌量も減ってしまうことが懸念され、その結果、骨の成長が妨げられてしまう恐れもあるのです。
ほかにもテレビやパソコンの画面は強い光を発しており、脳を昼だと勘違いさせてしまう作用があると言われています。
長時間この光を浴びていると寝つきが悪くなり、睡眠が妨げられるといった影響もあります。
パソコンやスマートフォンの仕様は少なくとも睡眠する2時間くらい前までにとどめておくことで、入眠がスムーズになると言われています。
低身長は治療することができます
低身長は成長ホルモン投与を用いることで治療することも可能です。
これは、注射をして成長ホルモンを血中へとしっかりと流すというものです。
人によっては成長ホルモンが分泌されにくいといったケースもあり、成長ホルモン治療では注射で不足している分を補うという形で治療していくことになります。
また、成長ホルモン治療以外にも、甲状腺ホルモン治療といった方法もあるのです。
このように低身長は治療することが可能ですので、気になる場合には早めに相談してみると良いでしょう。なお、低身長の治療は5歳から12歳頃から開始することが望ましいですが、個人差でそれ以降であっても治療が可能なケースもありますので、諦めずにまずは相談することから始めてみてください。
(まとめ)カルシウムを多く摂ることで骨は成長しますか?
カルシウムに期待できる効果は、骨を丈夫にするということであり、骨を伸ばし成長させる効果は認められていません。骨を伸ばすためには成長ホルモンが必要となり、成長ホルモンによって骨が伸びた後にカルシウムが必要になります。
骨は成長ホルモンが骨の先端部に働きかけ、栄養素がそこへ運び込まれることによって伸びます。カルシウムは伸びた骨を固めるために必要で、成長ホルモンと共に摂取量を気にしておくことを心がけましょう。
成長ホルモンが分泌されるタイミングは寝ている最中で、質の高い睡眠を取っていると多く分泌されることが分かっています。日頃の生活習慣が睡眠時間を確保することや、睡眠の質へも影響を及ぼすので注意してください。
低身長は成長ホルモン治療や甲状腺ホルモン治療といった方法で治療することができます。5歳から12歳の間に治療を開始するのが望ましいですが、それ以降であっても治療できるといったケースもあるため、まずは相談から始めてみてください。