成長ホルモンの注射では1.5~2倍程度身長の伸びが早まります
成長ホルモンの注射を打つ「成長ホルモン治療」では、最初の1~2年に急激な身長の伸びを感じられることが多いといいます。
身長の増加はこれまでの1.5~2倍程度になると考えられています。
例えば、1年間で3㎝しか伸びない子どもの場合、治療開始後には6㎝前後伸びるようになる可能性があります。
なかには1年で10㎝以上身長を伸ばした子どももいるくらいです。
目次
成長ホルモンの注射を打つと、急激に身長が伸びるといいます
「成長ホルモン治療」では、成長ホルモンを注射器で体内に注入することで子どもの低身長を治療していきます。
とはいえ、「成長ホルモン注射で本当に身長が伸びるの?」と疑念を抱かれている方もいらっしゃるかもしれません。
意外と知られていないかもしれませんが、成長ホルモン治療は、50年以上の歴史を持つ治療法です。
治療の効果が実証された当初は、まだ治療できる子どもの数に限りがありましたが、遺伝子組み換え技術の進化などにより、大量に生産することが可能になったのです。
成長ホルモンは、本来は睡眠時に分泌されるものですが、何らかの症状により正常に分泌されない子どもがいます。
そういった子どもの低身長を治療するのに、成長ホルモン注射が有効だとされているのです。
成長ホルモンを注射で打つと、最初の1~2年に急激に身長を伸ばす子どもが多いといいます。
これは、「追いつき現象」と呼ばれるもので、周りの子どもの成長に追いつくためのごく自然な現象と考えられます。
その後、身長の伸びは緩やかになっていきますが、なかには1年で14㎝程度身長を伸ばした子どももいるといいますから、成長ホルモン注射の効果は期待できるといえます。
低身長には二つの定義が考えられています
成長ホルモン治療で子どもの低身長を治療することが可能という説明をいたしましたが、「低身長」とは、具体的にどれくらいの身長のことを指すのでしょうか?
低身長の定義には、大きく分けて二つあるとされています。
一つ目は、平均身長に比べて-2SD以下の身長であることです。
「SD」というのは「Standard Deviation」の略語で、平均身長から離れている幅を意味します。
SDの数値は性別・年齢によって異なります。
身長の標準値は+2SD~-2SDという表現方法が用いられますが、ほとんどの子どもはこの間に位置しています。
-2SDよりも数値が低い場合、低身長であると考えられています。
例えば、1歳の女子の-2SD値は68.4㎝とされており、これ以上低い場合は低身長の可能性が高いですし、15歳の男子の-2SD値は154.7㎝とされていますから、150㎝を切る身長の場合などは低身長の定義に当てはまると考えられるでしょう。
二つ目は、身長は標準値であっても、年間の身長増加率が平均値の-1.5SD以下であり、この状態が2年以上続くことです。
例えば、7~8歳の男子の平均増加率は5.8cm、-1.5SD値は4.5㎝とされていますから、年間の身長増加が4.5㎝以下だった場合、低身長だといえます。
成長ホルモン治療で低身長のコンプレックスが解消されます
成長ホルモン治療は、低身長であることが発覚した時点で開始するのが理想的です。
成長ホルモンの注射を打てば、身長は伸びるといえますが、治療の開始が遅ければ遅いほど他の子どもに追いつくのに時間がかかる可能性があります。
そのため、なるべく早い段階で治療を開始した方が子どもの精神的な健康にも良いといえます。
実際、低身長の子どもが、成長ホルモン治療を開始する前と後とで性格に変化があったというケースもあります。
成長ホルモン治療を始める前は、身長が低いことをコンプレックスに思い、おとなしく消極的な性格だったといいます。
しかし、治療を始め周りの子どもの身長に追いつくと、だんだん明るく積極的な性格になったそうです。
身長をコンプレックスに思うことで日常生活に支障をきたすのはもったいありません。
子どもが心身ともに健康な生活を送れるよう、成長ホルモン治療を検討してみてください。
(まとめ)成長ホルモンの注射でどれくらい身長を伸ばせるの?
成長ホルモンの注射を打ち始めると、最初の1~2年に急激に身長が伸びる子どもが多く、その増加率は1.5~2倍程度上がるといわれています。また、なかには1年で10㎝以上身長が伸びるケースもあるといえます。
成長ホルモン治療は、50年以上前から行われている、子どもの低身長を治療するためのものです。成長ホルモンの注射を打つと、最初の1~2年に急激に身長が伸びるとされており、周りの子どもの成長に追いつくことが可能になります。
低身長の定義には二つ考えられています。一つは、平均身長に比べ-2SD以下の身長であることです。
SDの数値は性別や年齢で異なります。
二つ目は、年間の身長増加率が平均値の-1.5SD以下であることです。この状態が2年続くと低身長だといえます。
成長ホルモンの注射は、なるべく早いうちから打たせた方が良いといえます。子どもが身長をコンプレックスに思い、コミュニケーションに支障をきたす可能性がないともいえません。
成長ホルモン治療でコンプレックスを解消してあげることを考えてみましょう。