背が伸びない原因として考えられるものや、低身長かどうかを客観的に判断する方法をご紹介していきます。
お子さんの身長が、周りの子どもたちよりも低いと、何かの病気ではないかと不安になる親御さんも、少なくないかもしれません。
そこで今回は、背が伸びない原因として考えられるものや、低身長かどうかを客観的に判断する方法をご紹介していきます。
身長が平均より低くなる主な原因
身長が平均よりも低くなる原因には、次のようなケースが考えられます。
ホルモンの分泌異常…
成長ホルモンや甲状腺ホルモンなど、身長の伸びに関係するホルモンの分泌量が少ないケースで、「成長ホルモン分泌不全性低身長症」や「甲状腺機能低下症」などがあります。
染色体の異常…
成長に関する遺伝情報を含む染色体の欠損や突然変異による病気でも低身長が引き起こされることがあります。
症状のひとつとして低身長があげられるものには、「ターナー症候群」や「プラダー・ウィリー症候群」などがあります。
骨の異常…
骨や軟骨そのものに異常があって、骨の成長がうまくいかないケースで、「軟骨無形成症」や「軟骨低形成症」などがあります。
臓器の異常…
心臓や肝臓、腎臓など、臓器の病気が原因のケースです。
体質性低身長…
病気ではなく、体質的なものです。
家族性低身長…
病気ではなく、両親に体格が似ているケースで、遺伝的なものです。
思春期遅発症…
周囲の子たちよりも、思春期の訪れが遅いことによって起こるケースですが、高校生以降になると、急激に身長が伸び、最終的には、正常身長に達します。
心の問題…
両親からの虐待やネグレクトなどで、十分な愛情を感じられないまま育った子供の中には、「愛情遮断症候群」といって、成長や発達が遅れたり、停滞したりする子もいます。
SGA低身長症…
出生時に、標準よりもかなり小さく生まれてきた子供でも、大半の場合は、成長するに従って身長が標準に追いつきます。しかし中には、成長が追いつかないケースもあり、これを「SGA低身長症」と言います。
子供の発育状況を知るためには
お子さんの身長の低さが気になるときは、発育状況を把握するために、これまでの身体測定の記録をもとに、「成長曲線」をつけてみましょう。
記入するだけで、成長曲線を作成できるアプリケーションや、成長曲線シートのダウンロードができるWebサイトもあるので、そういったサービスを利用するのがオススメです。
成長曲線には、1SDや2SDといった表記がありますが、これは、「標準偏差」といって、平均から、どのくらい離れているかという幅のことです。
お子さんの成長曲線をつけてみて、記録が−2SDから2SDの間にくるなら、正常な範囲の身長と言えます。
しかし、−2SDを下回る場合は、低身長の可能性があるので、病院を受診したほうが良いでしょう。
また、SDスコアは、「SDスコア=(身長の実測値−平均身長)÷SD(標準偏差)」という計算式でも算出することができます。
計算式で使う標準身長や標準偏差は、こちらのWebサイトで確認することができます。(http://ghw.pfizer.co.jp/slow/pdf/sdscore.pdf)
例えば、現在5歳0ヶ月の男の子で、身長が100cmだった場合、上記のWebサイトの表で確認すると、同年齢の男子の平均身長は106.7cm、標準偏差は4.3です。
これを数式に当てはめると、「SDスコア=(100−106.7)÷4.3」という計算になり、この男の子のSDスコアは−1.56SDなので、正常範囲(−2SD〜2SD)に入っていることがわかります。
この例のように、たとえ平均身長よりも小さくても、多くの場合は、正常範囲の中に入っており、低身長ではありません。
主観で決めつけず、まずは成長曲線をつけたり、SDスコアを計算したりして、客観的に判断することが大切です。