タバコ、肥満、過度なストレス
子供の身長の伸びには、成長ホルモンが欠かせませんが、その分泌量は、生活習慣によっても左右されます。
そこで今回は、成長ホルモンの分泌を「妨げる要因」と「促すために必要なこと」に分けてご紹介していきます。
身長が伸びない要因を排除しよう
身長が伸びるのは、骨が伸びるからですが、具体的には、子供の骨にある「骨端線(成長線)」という軟骨層の細胞が増殖することで、骨が大きくなっていきます。
そして、この軟骨層を増殖させているのが「成長ホルモン」です。
ですから、子供の身長を伸ばすためには、成長ホルモンをしっかり分泌させることが重要です。
そのためには、このホルモンの分泌を妨げる要因は排除する必要があります。
それではここから、成長ホルモンの分泌を妨げる要因に、どのようなものがあるのかを見ていきましょう。
タバコは、「百害あって一利無し」といわれるほど、健康を害することが知られていますが、成長ホルモンの分泌にも、悪影響を及ぼします。
それは、タバコを吸うことで発生する「一酸化炭素」によって、脳が酸素不足に陥ってしまうから。成長ホルモンは、脳の脳下垂体から分泌されるので、脳が酸素不足になると、その分泌が妨げられてしまうのです。
未成年の喫煙はもってのほかですが、それだけでなく、周りの人が吸ったタバコの煙も、子供の成長に悪影響を及ぼします。
喫煙をしている親御さんは、子供の近くでは、タバコを吸わないようにしてあげてください。
私たちの体には、余ったエネルギーを脂肪として蓄える「脂肪細胞」が存在しています。
肥満になると、この脂肪細胞がふくらんで、そこから、体に悪影響を及ぼすさまざまな物質が分泌され、成長ホルモンの分泌が阻害されてしまいます。
お子さんが過度な肥満の場合は、よく噛んで食べさせる、砂糖の多いジュースや清涼飲料水などを飲ませない、食後にゴロゴロさせないなど、肥満の解消に努めましょう。
精神状態の悪化や、過度なストレスは、成長ホルモンの分泌量を減らしてしまうといわれています。
また成長ホルモンは、熟睡しているときに、たくさん分泌されるので、不安や悩みを抱えていて夜眠れなくなると、その分泌量が低下してしまいます。
言葉で伝えてくれなくても、子供はストレスを感じていると、怒りっぽくなったり、親のそばを離れなくなったりするなど、なんらかの変化を見せるものです。
そういったサインに気づけるように、日頃から、お子さんに、よく目を向けていてあげてください。
身長が伸びやすい体をつくろう
成長ホルモンをしっかり分泌させ、身長をすくすくと伸ばすためには、次のようなことを心がけ、規則正しい生活を送ることが何よりも大切です。
成長ホルモンの約 3 分の 2 は、睡眠中に分泌されるといわれており、睡眠は、子供の身長を伸ばす上で、欠かせない重要な要素です。
子供に必要な睡眠時間は、幼児( 6 歳まで)で 10 時間以上、小学生は 9 ~ 10 時間程度、中学生は 8 ~ 9 時間程度、高校生以上は 7 ~ 8 時間程度といわれているので、これを目安に、十分な睡眠をとらせるようにしましょう。
私たちの体には、「体内時計」が備わっているので、暗くなれば寝て、明るくなれば起き、日中は活動的に過ごすというのが、体の機能を最大限に活かせる生活リズムです。
また体内時計は、約 25 時間周期ですが、朝の光を浴びることで、体内時計のズレをリセットすることができます。
子供の成長には、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維をまんべくなく摂ることが大切です。
朝、昼、晩と 1 日 3 食の食事で必要な栄養素をバランスよく摂るようにしましょう。
適度な運動は成長ホルモンの分泌を促します。
また、日中体をしっかり動かすことで、夜は自然に眠くなり、熟睡しやすくなります。