「成長ホルモン分泌不全性低身長」とは、この成長ホルモンの分泌が低下したり、欠如したりすることによって低身長になる病気です。

低身長の1つである「成長ホルモン分泌不全性低身長」とは、どういった病気なのでしょうか?
今回は、この成長ホルモン分泌不全性低身長の概要と対処法をご紹介していきます。

成長ホルモン分泌不全性低身長とは

子供の骨を成長させる上で、もっとも重要な役割を果たすのは、脳の下垂体から分泌される「成長ホルモン」です。
「成長ホルモン分泌不全性低身長」とは、この成長ホルモンの分泌が低下したり、欠如したりすることによって低身長になる病気で、以前は、「下垂体性小人症」と呼ばれていました。

成長ホルモン分泌不全の原因としては、原因不明の「特発性」のものが、成長ホルモン分泌不全性低身長症全体の約85%を占めていますが、出産のときの仮死状態や事故などによる脳の外傷、脳腫瘍などによって起こる「続発性」もあります。
また、ごくまれに、遺伝子の異常や奇形など、生まれつきのケースもあります。

原因不明の特発性の場合は、生まれたときはほぼ平均身長ですが、1歳前後から身長が低めになり、2歳くらいになると標準偏差が−2SDを下回ります。
そして、成長するに従って、平均身長との差が、どんどん大きくなっていくというのが特徴です。

また、続発性のうち、脳下垂体やその周辺にできた脳腫瘍などが原因で起こる「器質性成長ホルモン分泌不全性低身長症」の場合は、正常に成長していた子供が、あるときを境に身長の伸びが急に悪くなるのが特徴です。
それまで普通に身長が伸びていたお子さんの成長率が急に低下したり、クラスでの背の順番が急に前のほうになったりした場合、成長ホルモン分泌不全性低身長の可能性があるので、小児(内分泌)科の専門医を受診しましょう。

成長ホルモン分泌不全性低身長の治療

成長ホルモン分泌不全性低身長の治療法は、原因によっても変わってきますが、「成長ホルモン治療」を行うのが一般的です。

成長ホルモンはタンパク質でできているので、飲み薬にすると胃で分解されてしまいます。
そのため成長ホルモン治療では、注射でホルモンを補充します。成長ホルモン注射は、自宅での注射が可能です。

注射というと、予防接種のときに使われるようなものをイメージする人が多いかもしれませんが、成長ホルモン治療の注射は、ボールペンのような形をしていて、手軽に打つことができるものです。
細くて短い針で皮膚のごく浅い所に打つので、痛みが少なく、注射跡が残るような心配もありません。

成長ホルモン治療は思春期を過ぎ、骨が成熟してしまった後では思うような効果を得ることができません。
低身長を改善するためには、思春期が始まる前に、成長ホルモン治療の期間を長くとることが重要です。
また低身長は、発見・治療が遅れるほど、標準的な身長との差が開き、その差を取り戻すのが困難になります。
成長ホルモン分泌不全性低身長症と診断された場合は、なるべく早く、できれば小学校に入学する前に、治療を開始するのがよいでしょう。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
西新宿整形外科クリニック

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運営クリニック 西新宿整形外科クリニック
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院長 沼倉 裕堅 医師