在胎週数が同じ100人の子どもがいたときに、その中で、小さい方から9番目までがSGAと呼ばれます。

低身長の1つである「SGA性低身長症」。
今回は、このSGA性低身長症の概要と対処法をご紹介していきます。

SGA性低身長症とは

「SGA」とは、英語の「Small‐for‐Gestational Age」の略で、生まれたときの大きさが、お母さんのお腹の中にいた期間(在胎週数)に応じた標準身長・体重よりも小さいという意味。
在胎週数が同じ100人の子どもがいたときに、その中で、小さい方から9番目までがSGAと呼ばれます。

乳幼児期は、一生の中で、もっとも成長のスピードが早い時期で、標準的な身長の伸びは、男の子の場合で1歳までに25cm、1~2歳の間に10cm、2~3歳の間に8cmとされています。
生まれたときの身長が50cmだった場合は、3歳で約93cmにまで成長し、3年間で、身長が2倍弱も伸びるということです。

人間の体には、もともとこういった成長のパターンが組み込まれているので、たとえSGAでも、9割近くの子どもは、2~3歳までの間に、身長や体重が標準の範囲に追いつきます。
しかし、その時期になっても、成長が追いつかなかった場合を「SGA性低身長症」と呼ぶのです。

SGA性低身長症の子供は、成人になっても背が低いことが予想されるだけでなく、成人してから、肥満や高血圧、糖尿病などといった「生活習慣病」になるリスクも高くなるといわれています。

SGA性低身長症の判断基準

SGA性低身長症の疑いがあるかどうかは、「成長曲線」を使って、判断することができます。
成長曲線とは、子どもたちの身長や体重データを集計し、年齢と月ごとの平均値および「標準偏差(SD)」をグラフ化したもののこと。このグラフに、お子さんの身長の測定値を記載していくことで、ほかの子に比べて、身長の伸びが、標準からどのくらい離れているのかを見ることができます。

この成長曲線をつけてみて、お子さんの曲線が、2歳を超えても「−2SD」の曲線よりも下になり、成長曲線のグラフの傾きに沿って伸びていかない場合は、SGA性低身長症の可能性があります。
成長曲線をつけてみて、「SGA性低身長症かもしれない」と感じたら、小児(内分泌)科の専門医を受診しましょう。

SGASGA性低身長症の治療

SGA性低身長症には、「成長ホルモン治療」が認められています。
成長ホルモン治療とは、身長を伸ばす働きがある「成長ホルモン」を、1日1回、自宅で睡眠前に、注射で補充するというもの。
注射といっても、ボールペンのような形をしていて、手元のボタンを軽くノックするだけで打てる使いやすいものです。
また細く、短い針の注射なので、痛みもチクっとする程度で済み、安心して使えます。

日本では2008年から、SGA性低身長症に対する「成長ホルモン治療」が保険適用になりました。
ただし、成長ホルモン治療を開始するためには、年齢が3歳以上、現在の成長率SDスコアが0SD未満、現在の身長SDスコアが−2.5SD未満など、細かい規定がいくつかあるので、受診の際に、よく確認しましょう。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
西新宿整形外科クリニック

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運営クリニック 西新宿整形外科クリニック
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院長 沼倉 裕堅 医師