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身長の伸びに関わる3つのホルモン
子どもの成長、特に身長に影響を与える要因として、生活環境、遺伝などが知られていますが、体の働きの中では、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモンの3つのホルモンの分泌が大きくかかわっています。
身長が伸びる時期っていつなの?年齢別身長の伸び方
身長は一定して伸びるのではなく、急激に伸びたり、ゆるやかに伸びたり、時期によって異なります。個人差はありますが、成長をグラフにすると一定の曲線が描かれます。これを成長曲線といいます。
身長の伸び方について、乳幼児期(0歳〜5歳ごろ)、学童期(6歳〜11歳ごろ)、思春期(12歳〜15歳ごろ)の3つの時期に分けて解説します。
乳幼児期
生後まもない赤ちゃんはほぼ50cmの身長ですが、1歳までに1.5倍強になり、その後は少しゆるやかな伸びとなります。そして、5歳では生まれたときの約2倍強の身長(男児平均:110.7cm、女児:平均身長109.9cm)になります1)。この時期、成長ホルモンや甲状腺ホルモンが成長にかかわっていますが、一番重要なのは栄養がしっかりとれているかどうかです。
学童期
学童期に入ると、年間6cm程度ずつ順調に身長が伸びていきます。男児は9〜10歳ごろから急激に伸びはじめ、13歳ごろをピークに、15歳ごろまで身長が伸びます。女児は8〜9歳ごろから伸びはじめ、11歳ごろをピークに、15歳ごろまで身長が伸びます。その後、成長速度はゆるやかに下がっていきます。
思春期
思春期(12〜15歳ごろ)に、男子では25〜30㎝、女子では20〜25cm程度伸びるといわれています。この時期の成長を支えているのが、成長ホルモンと性ホルモンです。ただし、性ホルモンの分泌によって、体の成熟が進むと、骨自体も大人の骨に変わり、成長が止まります。
低身長とは?気になる子どもの身長の悩み
学校で列の一番前が定位置だったお友だちがいつの間にか後ろに移り、自分の子どもが前に──。「なんだかうちの子はちっとも背が伸びないけれど、大丈夫なのかしら」と、心配している親御さんがいるかもしれません。実はお子さん自身も気にしています。少しお子さんと一緒に身長のことを考えてみませんか。
低身長かも…と思ったらやるべきこと
「自分の子どもは低身長かもしれない」と思った方は、まずはお子さんの成長の状況を正確に把握することが大切です。
同学年の平均身長に比べて低いからといって、低身長に該当するわけではありません。
成長曲線を描いてお子さんの成長状況を客観的に把握し、必要であれば専門の医療機関へ受診することをおすすめします。
成長曲線を記入しよう!
①日本小児内分泌学会のWEBサイトで、男子用と女子用の成長曲線の記入シートを印刷することができます。
http://jspe.umin.jp/public/teisinchou.html
②お子さんの成長記録を記入してみましょう。左縦軸が身長、右縦軸が体重、横軸が年齢です。
身長と体重のそれぞれで、青い曲線が数本ずつ印刷されており、平均の曲線がわかります。-2.0SDから +2.0SDの間に約95%の子どもが含まれます。
記入した曲線が、-2.0SDの曲線を下回っていれば低身長と考えられますので、医療機関に相談してみましょう。
両親の身長から最終身長の予測を計算する
子どもの身長は両親の遺伝要素が強いため、両親の身長から最終身長を予測しましょう。計算式は以下の通りです。
男子の場合:(父親の身長 + 母親の身長 + 13)÷2±9
女子の場合:(父親の身長 + 母親の身長 - 13)÷ 2±8
あくまでも目安ですが、両親の身長から簡単な計算式を使って、子どもの最終身長を概算できます。
医療機関で骨年齢を計測する
病院では、子どもの骨年齢を計測することで、最終身長の予測を行います。
骨年齢とは、X線検査により骨の成熟度を評価し、実際の年齢と比較することで、成長発達の状態を判断する指標のことです。
具体的には、左手のX線写真を撮影し、骨の成長具合を専門医が分析します。
骨年齢が若い子どもは、これから身長が大きく伸びる可能性が高いということです。一方で、骨年齢が成熟している子どもは、ほぼ身長の伸びが終わった状態にあるといえます。
この骨年齢と、子どもの現在の身長、体重などの情報を総合的に判断することで、最終的な身長予測が可能となります。骨年齢は医療機関でのみ対応できるので、一度診てもらうのがおすすめです。
治療のタイミングを逃さないよう、まず受診を
お子さんが急激に成長する時期はそれぞれ人によって異なります。小柄であることは個性の1つといえますし、スポーツなどで有利に働くこともあるでしょう。ただし、お子さんの成長の状況を正確に知っておくことは重要です。もし、ほかの子どもたちよりもいつまでも身長が伸びない場合、重大な病気が隠れていることもあります。
また、お子さんの身長が伸びる期間は限られています。一般に思春期が終わるころには身長の伸びはほとんど止まってしまいます。治療が必要な場合、成長の遅れを取り戻すためには、ある程度の時間が必要です。治療のタイミングを逃さないためにも、お子さんの成長の状態を調べて、心配なことがあれば受診しましょう。
1)文部科学省, 平成12年度 学校保健統計調査 調査結果の概要
身長が伸びる時期に気をつけたい生活習慣
子どもの身長が伸びる時期に気をつけたいポイントを下記でまとめました。
バランスのよい食事
子どもの成長期は、骨や筋肉の発達が著しく大切な時期です。特に、カルシウムやタンパク質の摂取が不可欠です。
カルシウムは骨の形成に、タンパク質は筋肉の発達に欠かせません。野菜、果物、穀物、乳製品、肉類などを組み合わせた食事を心がけることで、子どもの健やかな成長を促進させられるでしょう。
その他にも子どもの成長期に必要な栄養素を下記で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
良質な睡眠
成長ホルモンの分泌は睡眠と密接に関係しています。成長期にある子どもにとって、十分な睡眠時間を確保することは非常に重要です。
成長ホルモンは主に深い睡眠時に分泌されるため、質の良い睡眠が子どもの成長を促します。アメリカ国立睡眠財団の調査によると、3〜5歳(未就学児)は10〜13時間、6歳〜13歳は9〜11時間が推奨されています。
また、子どもが成長するにつれて睡眠時間が減少するのが特徴です。
十分な睡眠を確保することで、子どもの身体的・精神的な健康が維持され、健やかな成長が期待できるでしょう。
成長ホルモンと睡眠の関係を詳しく知りたい方は下記も併せてご覧ください。
適度な運動
適度な運動は成長ホルモンの分泌を促進し、子どもの健やかな成長を支えます。
日中に運動を行うことで、身体に適度な疲労感が生まれ、夜の質の良い睡眠につながります。質の良い睡眠は成長ホルモンの分泌を促進し、子どもの身長を伸ばすのに役立ちます。
就寝前の激しい運動は避け、落ち着いた活動に切り替えることで、良質な睡眠が得られるでしょう。
また、運動が子どもの身長を伸ばすのに効果的な理由を知りたい方は、下記をご覧ください。
>運動で身長は伸びる?身長を伸ばすための注意点やおすすめの時間帯
まとめ
一般的に、身長は0歳から17歳ごろまで伸び続け、それ以降は骨が大人の骨に変わることで成長が止まります。とくに身長が急激に伸びるのは「0〜1歳」、「9〜13歳(男児)」または「8〜11歳(女児)」の時期です。
ただし身体の成長には個人差があり、身体の成長スピードはお子さんによって異なるため一概にはいえません。
また、子どもの成長期には栄養バランスに気をつけ、十分な睡眠や適度な運動を行うことで成長ホルモンの分泌につながります。
西新宿整形外科クリニックでは、子どもの健やかな成長を支援するため、手術をしない「成長ホルモン治療」を提供しています。子どもの成長に関する不安がある方は、ぜひ無料カウンセリングにてお気軽にご相談ください。