「プロテインを飲めば身長が伸びる」というイメージを持つ方もいるかと思います。
確かに、プロテインは手軽にタンパク質の補給ができるため、成長によい影響を与えるのではと考えますよね。しかし、実際はどうでしょうか。

今回は、プロテインが成長に与える影響や、身長を伸ばすための栄養素について解説します。

 

プロテインで身長は伸びるの?

プロテインが直接的に身長を伸ばす、あるいは身長を伸びなくさせるということは断言できません。
というのも、身長の伸びにはさまざまな要因が関わっており、プロテインを飲んだことで身長が伸びた、または伸びなくなったと断定するのは難しいからです。

ただし、プロテインは身体の成長に必要なタンパク質を豊富に含んでいるため、タンパク質不足を防ぐためにプロテインを摂取するのは有効といえます。

身長を伸ばすためのプロテイン活用方法と必要な栄養素

プロテインを飲むだけで身長が伸びるとはいえないものの、成長に必要な栄養素の摂取をサポートする目的で取り入れてみてはいかがでしょうか。
なお、必要な栄養素は必ず普段の食事から摂取し、プロテインはあくまでサポート役として取り入れるようにしてください。

身長を伸ばすために必要な栄養素として、次のものが挙げられます。

  • タンパク質
    筋肉や骨など身体を作る材料となるタンパク質は、身長を伸ばすために欠かせない栄養素です。
    肉類や魚介類、卵類、大豆製品などに多く含まれます。成長期の子どもに必要な1日のタンパク質の量は、次のとおりです。

小児の食事摂取基準(タンパク質 g/日)

男性 女性
推定平均必要量 推奨量 推定平均必要量 推奨量
6-7歳 25 30 25 30
8-9歳 30 40 30 40
10-11歳 40 45 40 50
12-14歳 50 60 45 55
15-17歳 50 65 45 55

日本人の食事摂取基準(2020年版)2-2 乳児・小児より作成

※推定平均必要量=半数の人が必要量を満たす量 , 推奨量=ほとんどの人が必要量を満たす量

  • カルシウム
    カルシウムは骨の主成分であり、丈夫な骨を作るために必要です。
    カルシウムを多く含む食材は、牛乳や乳製品、小魚、豆類など。
    特に不足しがちな栄養素なので、献立や間食にカルシウムの多い食材をプラスするなど意識して摂取することが大切です。成長期の子どもに必要な1日のカルシウムの量は、次のとおりです。

小児の食事摂取基準(カルシウム mg/日)

男性 女性
推定平均必要量 推奨量 推定平均必要量 推奨量
6-7歳 500 600 450 550
8-9歳 550 650 600 750
10-11歳 600 700 600 750
12-14歳 850 1,000 700 800
15-17歳 650 800 550 650

日本人の食事摂取基準(2020年版)2-2 乳児・小児より作成

※推定平均必要量=半数の人が必要量を満たす量 , 推奨量=ほとんどの人が必要量を満たす量

  • ビタミンD
    ビタミンDには、カルシウムの吸収を助けるはたらきがあります。
    きのこ類や魚介類などに多く含まれます。脂溶性なので、脂質を含む動物性食品のほうが吸収されやすくおすすめです。
  • 亜鉛
    亜鉛は、ホルモンやタンパク質の合成に役立つ栄養素です。
    体内では作り出せないため、食事からしっかり摂取しましょう。
    牡蠣や豚レバー、魚介類などに多く含まれます。

以上が身長を伸ばすために必要な栄養素ですが、これらだけ摂取していれば身長が伸びるというわけではありません。
成長のためには、1日3回バランスの取れた食事を心がけ、栄養素を偏りなく摂取することが最も大切です。

そのほかの身長を伸ばす要因

記事の最初で、身長の伸びにはさまざまな要因が関わっていると説明しましたが、ここでは食事以外の要因について解説します。

良質な睡眠

睡眠中は、身体の成長に必要な成長ホルモンが多く分泌されます。
身長を伸ばすために睡眠で心がけたいポイントは、次の2点です。

  • 十分な睡眠時間を確保する
    厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、子どもの睡眠時間の目安は次の通りです。
    ・小学生:9〜12時間
    ・中学・高校生:8〜10時間ただし、必要な睡眠時間には個人差があるため、あくまで参考程度と考えてください。
  • 睡眠の質を上げる
    睡眠中は、深い眠りのノンレム睡眠と、浅い眠りのレム睡眠が交互に繰り返されています。
    ノンレム睡眠の間に成長ホルモンが多く分泌されるため、身長を伸ばすには睡眠の質を上げて深い眠りにつくことが大切です。睡眠の質を上げるためには、次のことを心がけてください。・適切な寝具を用意する
    ・起きたら朝日を浴びる
    ・夕食は遅くとも就寝の2時間前までに済ませる
    ・寝る15〜30分ほど前に湯船に浸かる
    ・寝る前は、テレビやスマホなどの強い光を避ける

>>なぜ「寝る子は育つ」?成長ホルモンと睡眠の関係

適度な運動

適度な運動は、成長ホルモンの分泌を促します。
身長を伸ばすのに有効な特定の運動・競技はなく、1日60分程度の運動を継続しておこなうことを意識するとよいでしょう。
特に、日中に十分身体を動かすと、適度な疲労によって睡眠の質も上がります。

なお、長距離マラソンなど負荷の高い運動を続けると、軟骨の損傷によりかえって身長の伸びを妨げるおそれがあります。
過度な運動は避け、無理なく続けられる程度の運動を毎日おこなうようにしましょう。

>>運動で身長は伸びる?身長を伸ばすための注意点やおすすめの時間帯

まとめ

「プロテインを飲めば身長が伸びる」とは断言できません。
しかし、毎日の食事で十分なタンパク質が摂取できない場合、補助的にプロテインを活用するのはおすすめです。
身長を伸ばすためには、栄養バランスの取れた食事が基本です。
身長を伸ばすのに必要な栄養素や、不足しがちな栄養素は特に意識して、日々の食事に取り入れてみてください。

西新宿整形外科クリニックでは、小児の低身長治療として成長ホルモン治療を実施しています。
不足している成長ホルモンを投与することで、骨組織の生成を加速させる治療です。
お子さまの身長が気になる方、お子さまが身長で悩んでいるという方は、ぜひ低身長外来のある西新宿整形外科クリニックへお越しください。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
西新宿整形外科クリニック

運営者情報

運営クリニック 西新宿整形外科クリニック
住所 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-21-3 新宿大京ビル7階
お問い合わせ 0120-962-992
院長 沼倉 裕堅 医師