カルシウムの効果は身長を伸ばすことではなく骨を強化することです


カルシウムは子どもに欠かせない栄養素ではありますが、身長を伸ばす効果はないと考えられています。カルシウムといえば身長を伸ばす効果のある栄養素の代名詞的存在です。

しかし実際のところ、摂取したからといって身長が伸びるという医学的根拠はありません。

カルシウムには骨を強くする働きがあります。
丈夫な骨を育てるため、特に成長期の子どもには摂取させたい栄養素になりますが、身長を伸ばす効果は期待できないことを知っておきましょう。

カルシウムに身長を伸ばす直接的な効果はないと考えられています

一般社団法人日本小児内分泌学会では、「カルシウム製剤は成長を促進すると思われているが、骨を強くする作用はあっても成長促進作用はない。」という見解を発表しています。
体内でカルシウムが不足している場合は、補給することで成長が正常化することがあると考えられています。

つまり必要以上に摂取したからといって身長が伸びるわけではなく、たとえ牛乳を飲んでもカルシウム不足に陥っていない限りは身長を伸ばす効果は見込めないということになります。
身長を伸ばす上で最も積極的に摂取したいと言われているのは、たんぱく質です。
牛乳にはカルシウムだけでなくたんぱく質も含まれていますが、そのたんぱく質を目当てにたくさん飲ませることは避けましょう。

成長期の子どもには偏らないバランスの取れた食事が必要です。

カルシウムに関わる病気があります


カルシウムは骨を強化するために必要な栄養素ですが、牛乳の飲みすぎは子どもの健康を害することがあります。

食欲不振

牛乳は腹持ちが良いため、過剰に飲ませ続けてしまうと満腹感から食欲不振を招く可能性があります。
食べるべき時に食事が喉を通らなくなり、カルシウムだけでなくたんぱく質などの子どもの成長に欠かせない栄養素が不足してしまうことに繋がります。

お腹をこわす

お腹が緩くなっている時は、腸の働きが悪くなっている状態です。
栄養素の吸収がうまくいかなくなっているため、摂取した栄養素の一部が吸収されずに流れてしまうことになります。
牛乳などの乳製品には乳糖という糖分が含まれており、日本人はこの乳糖を消化するために必要な酵素が足りない傾向にあります。

肥満

牛乳には脂肪分が多く、飲ませ過ぎは肥満のリスクを大きく高めます。
肥満になると身長を伸ばす作用がある成長ホルモンの分泌が低下してしまいます。
また肥満は早熟傾向になりやすく、結果的に身長が伸びる時期が短縮されてしまう恐れがあります。

仮にカルシウムを摂りすぎたとしても、余分なカルシウムは尿や便としてそのまま排出されます。
これは腸が体内に取り入れるカルシウムの量を調節しているためです。

人間の体には、体内のカルシウムが過剰にならないようにする機能があります。
ところが何らかの原因によって血中のカルシウム濃度が異常に高くなると、「高カルシウム血症」を発症することがあります。
骨痛、筋肉痛、眠気、気分の変動が起こる可能性が指摘されています。

バランスの良い食事作りを心がけましょう

身長を伸ばすことをはじめ、お子さんの成長と健康を考慮するのであれば、バランスの取れた食事は欠かせません。
成長ホルモンの分泌を促す亜鉛、骨の成長に影響を与えるマグネシウム、身長を伸ばすために最も重要なたんぱく質、骨を強化するカルシウムが摂取するべき栄養素です。

大切なのは身長を伸ばすだけでなく、健やかな身体作りを目指してさまざまな食材を取り入れていくことです。カルシウムの特徴については先ほどお伝えしましたが、牛乳だけに頼らない食生活を目指していくことが求められます。骨をビルに例えると、骨組みである鉄筋がたんぱく質、鉄筋を補強するコンクリートがカルシウムになります。

身長を伸ばす(骨を伸ばす)作用があるもの、骨を強くする作用があるもの、それらを考慮した食生活が身長を伸ばすことに役立ちます。
食生活についての困ったことや相談したいことがある場合は、子どもの身長外来があるクリニックを訪ねてみましょう。

(まとめ)カルシウムには身長を伸ばす効果がある?

1.カルシウムの効果は身長を伸ばすことではなく骨を強化することです

身長を伸ばす栄養素といえばカルシウムを思い浮かべる方も多いですが、カルシウムには身長を伸ばす効果はないとされています。
カルシウムの役割は骨の強化であり、成長期の子どもに摂取させたい栄養素です。

2.カルシウムに身長を伸ばす直接的な効果はないと考えられています

カルシウムには骨を強くする作用がありますが、身長を伸ばす効果はないと考えられています。
身長を伸ばすのに最も摂取したい栄養素はたんぱく質です。
成長期の子どもには偏らないバランスの取れた食事が必要となります。

3.カルシウムに関わる病気があります

カルシウムは骨を強化する栄養素ですが、牛乳の飲み過ぎは食欲不振、下痢、肥満を引き起こす恐れがあります。
余分に摂取したカルシウムは尿や便と一緒に排出されますが、血中のカルシウム濃度が異常に高くなると、高カルシウム血症を発症することがあります。

4.バランスの良い食事作りを心がけましょう

バランスの取れた食事がお子さんの成長と健康に繋がります。
亜鉛、マグネシウム、たんぱく質、カルシウムなどを摂取しやすい食事内容にし、牛乳に頼り過ぎないようにしましょう。
食生活に関する疑問点などについては、専門のクリニックにご相談ください。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
西新宿整形外科クリニック

運営者情報

運営クリニック 西新宿整形外科クリニック
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院長 沼倉 裕堅 医師