体を引っ張ることに身長を伸ばす直接的な効果はないです
牽引機やぶら下がり健康器で体を引っ張ると身長が伸びる、という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし実際は、体を引っ張ることで身長が伸びる科学的な根拠はないとされています。
骨の関節が伸びることで一時的に効果が得られる可能性はあっても、骨が成長する効果は期待できないと考えられています。
姿勢を改善するという点では成長に良い影響を与えることはあります。
目次
子どもの身長を伸ばすには成長ホルモンが必要です
子どもの身長を伸ばす方法を知るためには、まず子どもの身長が伸びるメカニズムについて知らなければならないといえるでしょう。
子どもの身長は、骨の両端にある「骨端線」、別名「成長線」と呼ばれる軟骨部分の成長により伸びていくと考えられています。
骨端線を成長させるのに必要となるのが「成長ホルモン」「甲状腺ホルモン」「性ホルモン」の3つのホルモンとされており、このうち成長ホルモンが身長を伸ばすのにもっとも重要なホルモンとされています。成長ホルモンが脳下垂体から分泌され、ソマトメジンCという物質を発生させ、この物質に骨が反応することで骨が成長するといいます。
体を作る栄養素としてしられるたんぱく質の合成も、成長ホルモンの働きが影響しているといわれています。
牽引機やぶら下がり健康器で体を引っ張ると身長が伸びる、という話を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょうが、これには科学的な根拠はないとされています。
体を引っ張ることで骨の関節が伸び、一時的に身長が高くなる効果を得られることはありますが、骨が成長する効果は期待できないでしょう。
子どもの身長を伸ばすためには、体を引っ張ることよりも、成長ホルモンの分泌やたんぱく質などの栄養素の合成を促す方が大切だといえます。
体を引っ張ることで姿勢を良くする効果が期待できます
牽引機やぶら下がり健康器で体を引っ張ることには、直接的に身長を伸ばす効果は薄いと考えられますが、間接的な効果が得られる可能性はあります。
体を引っ張ることで骨の成長は望めないものの、姿勢が改善される効果が期待できます。
例えば猫背などの悪い姿勢は、背骨が丸くなり、筋肉が硬くなってしまうといえます。
猫背の姿勢はリンパの流れや血流を悪くさせ、成長に悪影響を与える可能性があります。
ですから、姿勢を改善することで、それらの流れをスムーズにし、成長に必要な栄養分を全身に巡らせることができるようになると考えられます。
また、体を引っ張る動作には骨端線周辺の関節や筋肉を柔らかくし、骨の成長を活発にするする効果が期待できます。
牽引機やぶら下がり健康器を用いなくとも、ストレッチなどでも十分ですから、継続して行うことで筋肉の弾力性や関節の可動範囲を広げられるでしょう。
いずれにしても、一日や二日で効果が実感できるというわけではなく、数か月、数年続けることが大切だといえます。
適度な運動が子どもの成長をサポートすると考えられています
身長を伸ばすという目的であれば、全身運動の方が効果的だと考えられています。
もちろん、それだけで骨が伸びるというものではありませんが、全身運動により成長ホルモンの分泌を促すことが可能となります。
全身運動には食欲増進させる効果もあるため、体の成長に必要な栄養素を食事から摂るためにも必要だといえるでしょう。
ただし、運動ならなんでもよいというわけではなく、子どもが疲労と感じるレベルの運動は逆に成長の弊害になる恐れがあるとされています。
例えば、筋トレや長時間のマラソン、柔道、重量上げなどハードなスポーツは、過度に筋肉や関節を発達させてしまうため推奨されていません。
全身を使い、ジャンプや軽く走る動作が含まれるスポーツが良いとも言われており、縄跳びやバレーボール、バスケットボール、テニス、水泳などは適度に骨に刺激を与え、子どもの成長をサポートするのにふさわしいと考えられています。
いずれの場合も、毎日何時間も行うのではなく、週に3~4回程度、一回1時間程度が適しているといわれています。
(まとめ)体を引っ張ることで身長を伸ばすことはできるの?
骨が成長することで身長が伸びますが、牽引機やぶら下がり健康器で体を引っ張ることにその効果があるとは考えられていません。
ただし、直接的な効果はなくても、姿勢を正すという意味では間接的に成長にメリットを与える可能性はあります。
骨の両端にある骨端線が成長することで子どもの身長が伸びると考えられており、それには成長ホルモンが不可欠といいます。
そのため、牽引機やぶら下がり健康器で体を引っ張ることで身長が伸びるということは考えにくいでしょう。
体を引っ張ることには骨を伸ばす効果は薄いですが、姿勢が改善される効果が期待できます。
悪い姿勢は成長に悪影響を与える可能性があるため、姿勢を改善することは身長を伸ばすことに繋がると言って良いでしょう。
全身運動は成長ホルモンの分泌を促し、食欲増進させる効果が期待できますから、子どもの身長を伸ばすのに役立つと考えられています。
適度な運動は成長をサポートするものの、過度な運動は成長の弊害になる可能性があります。