身長を伸ばすことに対して、男性ホルモンは妨げになりません


男の子の身長を伸ばすには、思春期をむかえることが必要です。
思春期には性ホルモンが分泌され始め、男性ホルモンの分泌量が増えていきます。

すると身長がぐっと伸びるようになるため、生理的に分泌される男性ホルモンは、身長を伸ばすために必要なものです。
生理的に分泌される男性ホルモンが、身長の伸びを妨げることはないため、通常の思春期は身長を伸ばすのに影響はありません。

子どもは思春期になると大幅に身長が伸びます

子どもの身長を伸ばす時期は、乳幼児のころと、性ホルモンが分泌しだす思春期の2回です。
身長を伸ばすために影響しているのが、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモンの3種類となります。

性ホルモンは思春期になると分泌量が増えるホルモンで、男の子は男性ホルモンなど性ホルモンの分泌量が増加し、骨の成長に影響を与えるのです。
しかし、性ホルモンは骨の成長を促す一方で、骨を硬くして成長を止める働きもあります。
そのため、思春期にどう過ごすのかにより、子どもの身長を伸ばす割合が変わってくるのです。

性ホルモンの影響を受け始めるのは、男の子では11歳前後です。
このくらいの年齢から年間10cmくらいの身長が伸び、17~18歳ころの思春期が終わるまでに25~35cm伸びます。

この時期に身長を伸ばす生活習慣や食生活を心がけることが大切で、思春期が終わってしまうと、性ホルモンの影響で骨が硬くなり成長が止まってしまうのです。
身長を伸ばすためには、成長ホルモンの分泌を促すため適度な睡眠と、骨の成長に必要なたんぱく質とカルシウムの摂取、適度な運動で成長ホルモンの分泌を促すことが必要となります。

性ホルモンの分泌に影響を及ぼすサプリメントや注射などは身長を伸ばす弊害となる可能性があるため、避けるようにしましょう。

男の子も男性ホルモンより女性ホルモンのほうが影響します


思春期に身長伸びる理由は性ホルモンの影響を受けてですが、男女どちらも女性ホルモンのエストロゲンの影響を強く受けています。
エストロゲンは男女ともに分泌されており、思春期になると分泌量が増加し、身長促進に影響を与えるホルモンです。
エストロゲンが分泌するおかげで骨の成長が促され、骨端線が閉鎖して成長が止まります。

一方で男の子の場合エストロゲンが分泌できない病気を持っている場合は、骨の成長や骨端線の閉鎖がみられないことから、身長を伸ばすのにエストロゲンが関与していることは明確です。
男の子の場合、思春期が始まるころに卵胞刺激ホルモンの影響を受け、卵巣の発育がみられています。

さらに黄体ホルモンにより男性ホルモンのテストステロンが分泌され始めるのです。
女の子より男の子の身長伸びる時期が遅く、思春期が始まったころにはエストロゲンの分泌を受けていません。

思春期をむかえてしばらくしてからエストロゲンの影響を受けており、女の子では25cm程度伸びるのに対し、男の子は25~30cm伸びます。
男の子が思春期をむかえてしばらくしてからピークをむかえ、男性ホルモンの影響を受けて声変わりが起こり、骨端線が閉鎖して身長の伸びが緩やかになります。

思春期が来る時期が異常に早い遅い場合は注意が必要です

思春期をむかえる時期には個人差があり、男の子では11歳くらいです。
人によってはこれより早く思春期をむかえる場合もありますし、多少遅くなることもあります。

ただし、思春期が異常に早すぎる場合や、遅すぎる場合は病気が疑われるため注意が必要です。
男の子の思春期は、精巣や陰茎が大きくなり、陰毛が生え、声変わりが起こります。
思春期とは性機能が発達し、子どもがつくれる状態になる過程のことです。

最初に脳下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌され、男の子の体内で男性ホルモンの分泌が促され、体に変化が起こります。
男の子の思春期を判断する材料として、精巣容量と陰毛発生が挙げられます。
精巣容量が増えるのは、10.8歳から前後1.3歳くらいです。

陰毛が生えるのは12.5歳から前後0.9歳となります。
精巣が大きくなる年齢が9歳未満の場合や、陰毛の発生が10歳未満の場合は、思春期が早すぎるといえるでしょう。
13歳を超えても思春期をむかえない場合も、病気を疑う必要があります。

思春期が早く来てしまう原因はよくわからない場合が多く、すべての場合で治療が必要なわけではありません。
低身長となる可能性がある場合や、心理的な影響を受ける場合は、治療が必要となります。

この場合は思春期を遅らせるホルモン治療などが必要となるため、医師と相談しながら進めていきましょう。

(まとめ)男性ホルモンは身長を伸ばすのに影響しますか?

1.身長を伸ばすことに対して、男性ホルモンは妨げになりません

性ホルモンが分泌する思春期に、子どもの身長は大幅に伸びます。生理的に分泌される男性ホルモンは身長を伸ばすのに必要なもので、妨げになるものではありません。
思春期をむかえることは、身長を伸ばすために必要です。

2.子どもは思春期になると大幅に身長が伸びます

子どもの身長が伸びるのは乳幼児のころと、思春期の2回です。思春期には性ホルモンの分泌が増え、性ホルモンの影響で骨の成長が促され、思春期が終わるころに骨が硬く変化します。

3.男の子も男性ホルモンより女性ホルモンのほうが影響します

男の子の場合も、身長伸びるために影響している性ホルモンは、女性ホルモンのエストロゲンです。エストロゲンの影響を受けることで骨の成長が促され、骨端線の閉鎖が起こるようにできています。

4.思春期が来る時期が異常に早い遅い場合は注意が必要です

思春期の時期が早すぎる、または遅すぎる場合は治療が必要なこともあります。早く訪れることで身長が伸びない場合は、治療が必要となります。
9歳未満で精巣が大きくなる場合や、13歳になっても思春期をむかえない場合は医師に相談しましょう。

監修医情報

西新宿整形外科クリニック院長
沼倉 裕堅 医師
ぬまくら ひろかた/Hirokata Numakura
経歴
東北大学医学部医学科 卒
湘南藤沢徳洲会病院 内科・救急科・整形外科
いわき市医療センター 整形外科
竹田綜合病院 整形外科
山形市立病院済生館 整形外科
Mahidol Univ. Ramathibodi hospital 整形外科(タイ)
いしがみ整形外科クリニック
西新宿整形外科クリニック

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院長 沼倉 裕堅 医師