身長を伸ばすには脳の働きが正常であることが重要です
身長を伸ばすためには成長ホルモンの分泌が必要となります。
成長ホルモンは脳の下垂体から分泌されており、下垂体に異常があると成長ホルモンの分泌に影響を与えて、身長が伸びない、または過剰になり過ぎる病気が起こるのです。
この成長ホルモンの分泌量は、過剰になり過ぎても不足になっても影響が起きてしまいます。
そのため、脳の下垂体に異常が起これば、子どもの身長を伸ばすのに問題が出てきてしまうと言えるでしょう。
目次
低身長症は成長ホルモンの不足により起こります
脳の下垂体の問題で起こる成長の問題は、低身長症と呼ばれています。
低身長症とは、標準的な身長の成長曲線から大きく外れていることをいいます。
成長曲線とは平均的な身長や体重を表にしたもので、-2.0SDから+2.04SDまで約95%含まれており、-2.0SD以下となると低身長症です。
子どもの身長が伸びない原因は、脳の脳下垂体から分泌される成長ホルモンが十分分泌されていない場合や、染色体の異常、子宮内での発育不全などが挙げられます。
脳の下垂体の問題では、出生時に脳に損傷を受けてしまったことが原因のひとつです。
原因不明のものが3分の2、後天的な腫瘍による影響が一部あります。
低身長症となっても出生時の身長に変化は見られず、成長にともない成長に遅れが出てきます。
身長が低く思春期が遅れますが、知能は正常です。
成長曲線から大きく外れるようなことがあれば、病院で詳しい検査を受けておきましょう。
成長ホルモンの分泌検査や、レントゲン、MRIなどを用いて詳しく検査します。
何らかの原因により脳下垂体から成長ホルモンの分泌量が減っている場合は、ホルモン補充療法がおこなわれます。
10歳以下で治療を始めると効果が出やすく、それ以降だと効果は少ないです。
成長ホルモンの分泌が多くなると巨人症となります
脳の下垂体から分泌される成長ホルモンは、不足しても身長が伸びにくくなり問題ですが、逆に分泌量が多くなりすぎても巨人症となり影響が出てきます。
成長ホルモンの過剰な分泌が思春期までに起こると巨人症となり、成人から発症すると先端巨人症となります。
しかし、成長はゆっくりのため、本人や家族は気が付かない場合も多いようです。
小児のころに成長ホルモン過剰の影響を受けると、10代~20代で身長の増加によりみつかります。
大人になってからの場合は、40代や50代くらいです。
この病気の原因は脳の下垂体に良性の腫瘍ができることで、成長ホルモンを過剰に分泌させます。
多くの場合は遺伝による問題はありません。
成長ホルモンの分泌過剰が腫瘍による問題だと判明したら、手術により取り除くのが一般的です。
鼻からアプローチする手術方法が確立されており、熟練の医師が執刀すれば安全性が高いといわれています。
手術で腫瘍を取り除くことができれば、成長ホルモンの分泌は正常に戻り完治することが多くなっています。
完治することが難しい場合でも、薬物療法を利用しコントロールが可能です。
そのまま放置すると合併症をともなうリスクがあるため、早期に治療する必要があります。
成長ホルモンの低下は心身にも影響を及ぼします
成長ホルモンの分泌量が低下することは、子どもの身長が伸びないだけでなく、将来の生活習慣病の原因にもなる可能性があります。
代謝に関わるホルモンのため、コレステロールの代謝が低下し、インスリンの効きが悪くなるからです。
考えられる生活習慣病は、動脈硬化による心筋梗塞や狭心症、糖尿病などが挙げられます。
代謝の低下が起こると、骨の成長を阻害し、大人になってからも骨粗しょう症リスクが高まります。
ほかにも筋肉量の低下により日常生活に支障が現れやすく、心機能の低下にも影響するでしょう。
発汗量の低下がみられ、皮膚がカサカサしたり、体温が上昇したりします。
成長ホルモンの低下がみられると、疲れやすく生活の質が低下し、集中力が続かず仕事にも影響を及ぼす可能性があります。
精神的な問題では、イライラしやすい、落ち込みやすい、記憶力が低下しやすい、怒りっぽいなどの症状などです。
子どものころに脳の下垂体異常で成長ホルモンの分泌量に問題が出ると、大人になったときの代謝にも影響を及ぼすため注意が必要です。
成長ホルモンの不足がみられる場合は、自己注射による治療が受けられます。
この治療法は1956年よりはじめられており、日本はもちろん世界各国でもおこなわれているポピュラーな治療方法です。
(まとめ)脳の問題で身長を伸ばすことができないのですか?
身長を伸ばすためには成長ホルモンが必要で、脳の下垂体より分泌されています。脳の下垂体に異常があれば、成長ホルモンが過剰または不足して、身長を伸ばすことに影響を及ぼしてしまうのです。
脳の脳下垂体が問題となり成長ホルモンが分泌できないものを、低身長症と呼びます。出生時の脳の損傷や、後天的な腫瘍などが原因となりやすく、問題がみつかった場合はホルモン補充療法で治療が可能です。
脳の下垂体に良性の腫瘍がみられる場合は、成長ホルモンの過剰な分泌となり、巨人症となることがあります。腫瘍は手術で取り除くことができれば、完治することが多いです。
脳の下垂体に問題が生じている場合は、将来の生活習慣病に影響を与える可能性があります。そのため、自己注射による治療を受ける必要があるでしょう。
この治療法は、日本はもちろん世界でもおこなわれているポピュラーな方法です。